ひき肉はスーパーのセールや割引で、ついつい大容量パックを買いすぎてしまいがち。冷凍保存をするという方も多く、どうすれば正しい解凍方法ができるか、解凍方法が多すぎて悩みますよね。
本記事では、ひき肉の解凍方法を紹介します。それぞれの解凍方法の特徴や、解凍する際のポイントまで紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
ひき肉はほかのお肉と比べて表面積が広く、劣化も早いのが特徴です。とくに鶏肉や豚肉は痛みやすく、間違った解凍方法を行ってしまうと、肉の中で細菌が増殖し食中毒を引き起こすので注意しましょう。
主な解凍方法は以下の5点です。
では、順番に解説します。
庫内解凍はひき肉の品質を保ちながら解凍時に出てくるドリップを抑えられる解凍方法です。ドリップとは、温度変化によってお肉から流れ出る水分やうまみ、タンパク質のことで臭みの原因にもなります。
庫内解凍の場合は、時間をかけて低温でゆっくりと解凍するので、温度変化が少なく、肉の変性が進みにくいです。また、菌も繁殖しにくく冷凍庫から冷蔵庫へ移すだけなので手間もかからず簡単で安全に解凍できます。
解凍時間の目安はひき肉100gに対し約1時間ほどなので、2時間前に移しておくと調理するタイミングで解凍ができます。解凍時はドリップが流れ出てほかの食材を汚染しないように、二重にして解凍するようにしましょう。
氷水解凍は庫内解凍よりもより短時間で解凍できる方法です。氷の張ったボウルの中に冷凍されたひき肉を袋ごと入れて解凍していきます。
氷水解凍も水温を0度にキープしながら解凍し、温度変化は少ないのでドリップも出にくくおいしく解凍ができます。
解凍する量にもよりますが、目安としては1〜3時間で解凍できるでしょう。お肉が水に直接触れないよう、密閉できる袋を使って解凍するようにしましょう。
流水解凍は庫内解凍、氷水解凍よりもさらに早く解凍ができます。密閉袋に解凍したいひき肉を入れ、ボウルや鍋の中に入れて流水を流して解凍します。100グラムあたりおよそ5分ほどで解凍ができるでしょう。
流水解凍は熱伝導率が高く、冷やしながら解凍するので熱の編成が起こりにくくドリップも出にくくなります。
また、袋の上から手でお肉を軽く揉み込むとさらに早く解凍できるでしょう。袋が浮き上がってしまい、うまく解凍が進まない場合は、ペットボトルなどで重しをすると安定し、スムーズに解凍できます。
電子レンジ解凍は冷凍庫から取り出してすぐに解凍できるので、時間のないときにおすすめです。一方でドリップが出やすく、加熱ムラが起こりやすいため注意しましょう。
ペーパーをひいた耐熱皿の上にラップをはがした冷凍のひき肉をのせ、解凍モードで解凍していきます。ひき肉100gにつきおよそ2分で解凍できますが、どうしても加熱ムラができてしまいます。
解凍モードがついていないレンジの場合は、お肉の状態を確認しながら数分ごとに様子を見たり、ワット数を低めに設定してで加熱するようにしましょう。解凍後の加熱した部分は細菌が繁殖しやすくなっているので、すぐに使い切るようにしてください。
フライパン解凍は、冷凍庫から出したひき肉をそのまま加熱しながら解凍していく方法です。時短で洗い物も少なく蒸して解凍するので、加熱ムラなく肉の芯までしっかりと解凍できるのが特徴です。
解凍方法はフライパンにひき肉と水を入れ、弱火で3分フタをして加熱します。その後火を止めて、1分ほど余熱で火を通すだけで解凍ができるでしょう。
水の目安はひき肉100gに対して70mlとなっています。解凍後はそのままフライパンの中に野菜や調味料を加えて調理ができるので、家事の時短にもつながります。
常温での解凍は3、4時間と短時間での解凍ができる一方、そのまま忘れて解凍しきっても放置したままと忘れやすいです。また、暑い部屋の中や直接日光が当たる場所での解凍はしないようにしましょう。
常温解凍をしてしまうと部屋と肉の温度差でお肉の変性が進行しやすくなり、外側は解凍できても中心まで解凍が終わる頃には外側が長時間常温にさらされている状態なので、細菌の増殖も進んでいきます。
とくに梅雨から夏にかけては湿度が上昇し、鶏肉や牛肉に付着している大腸菌による食中毒も発生件数が多くなっています。15〜50度の温度の中では、細菌が繁殖しやすく食中毒のリスクも高まるので注意しましょう。
また、火を通せば問題がないと思われる方も多いですが、中心まで加熱がしっかりとされていないとサルモネラといった食中毒の危険性が高まります。とくに子供や妊婦、高齢者の方は抵抗力が低く、重症化しやすいため庫内解凍や流水解凍をうまく利用して、常温解凍は行わないようにしましょう。
ひき肉の解凍方法はさまざまな種類があり、正しい解凍方法を行わないと食中毒や品質の劣化につながります。ここでは、ひき肉を解凍するときのポイントについて紹介します。解凍時のポイントは、以下の4点です。
では、順番に解説します。
解凍した肉を再び冷凍すると、肉の水分が抜けて次第にパサついてきます。また、何度も冷凍することによって細胞壁が壊れる回数も増えるので、加熱後の食感も固くなり、おいしさも損なわれやすいです。
再冷凍を繰り返していると、「冷凍焼け」を引き起こす可能性もあります。冷凍焼けとは、長期間冷凍することで肉の水分やうまみが抜け、乾燥し酸化してしまっている状態を指します。
臭みや肉の品質の劣化にもつながるので、解凍した肉は再冷凍せずそのまま使い切るようにしましょう。
冷凍焼けを防ぐには、小分けにして冷凍したり、使う分だけ解凍したりするとお肉を余らせずに使い切れます。またひき肉の水分を逃さないのも大切で、空気に触れさせないようなるべく密閉させてから保存袋につめて冷凍するのを心がけましょう。
冷凍庫の開け閉めが多いのも庫内の温度を上げ、水分が蒸発しやすくなる原因にもなるので冷凍庫の開閉は最低限にし、開けたらすぐに閉めるようにしましょう。
低温で解凍すると、肉の中心部と表面の温度差が小さくなるので流れ出るドリップも少なくなり、おいしく調理ができます。また、庫内解凍や氷水解凍など温度変化の少ない解凍方法では、細菌の増殖も防げるので衛生的に解凍できて食中毒の心配も少ないです。
そのため急ぎではない場合、なるべく低温でゆっくり解凍のできる庫内解凍を行うようにしましょう。
解凍されたひき肉から滲み出てくるドリップは、ペーパーで優しくお肉を包み込むようにして拭き取りましょう。ドリップを拭き取らずに超えてしまうと焼きムラや匂いの原因にもなります。
とくにレンジ解凍やフライパン解凍はドリップが出やすいので、時間に余裕がある場合はなるべく庫内解凍を使うようにしましょう。
庫内解凍や氷水解凍したひき肉はすぐには使わず、少し常温において室温に近づけてから使うのがおすすめです。お肉の性質として、急な温度変化を与えてしまうと固くなってしまうため、室温に戻してから加熱調理するとパサつかずふっくらと柔らかい食感になります。
一方で、電子レンジ解凍をしたものは細菌が増殖しやすいので、すぐに使うようにしましょう。
ほかの肉よりも表面積が多く劣化の進行が早いひき肉は、冷凍からおよそ2週間が保存期間の目安となっています。1ヶ月を超えてしまうと冷凍焼けを起こしやすく、肉の品質も低下してしまいます。冷凍していれば安心ではなく、なるべく早めに使い切るようにしましょう。
解凍後のひき肉はさまざまな料理にアレンジできます。いろいろな食材と合わせられるお肉なので、お弁当のおかずや副菜に困ったときなどに作ってみてください。
フライパン解凍して調味料を加え、そぼろ上にしておけばどのような食材にも合い、和洋中すべてのジャンルの料理に使えます。3食丼や卵焼きの具材、あんかけや煮込みの具材など万能なので作るものに悩んだ際におすすめです。
子供も大好きなミートボールは、お弁当のおかずにもぴったりです。煮込んで作るので、中が生焼けになる心配もありません。作り置きしておけば、時間のないときにでも助かるおすすめのメニューです。
ひき肉はキーマカレーやドライカレーといったカレーの具材としても使えます。大量に作って保存できるので、作り置きにも便利です。応用すればドリアのミートソースやミートグラタンなど、レシピの幅が広がるでしょう。
まとめ買いしがちなひき肉は、正しい方法で解凍しないと食中毒の原因になったり、品質の劣化につながったりします。解凍するときには1度に使いきれる量だけ取り出すようにして、毎日の食生活を豊かにしてくださいね。
この記事を書いた専門家(アドバイザー)
著者情報 ゼロカラ編集部
超高速凍結機、急速凍結機、液体凍結機、ナトリウム除去装置、凍結製造ライン設計の株式会社ゼロカラ
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