レパートリーが多く、電子レンジで解凍するだけで美味しく食べられる冷凍食品。保存にも便利で、日ごろから重宝している方も多いでしょう。
しかし長く保存できる冷凍食品は、気が付いたら賞味期限が切れていたということも少なくありません。では、賞味期限が切れた冷凍食品は食べられるのでしょうか。
この記事では冷凍食品の賞味期限について解説します。賞味期限が切れていても食べられる食品の目安や、長持ちさせるコツもお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
冷凍食品は決められた一定の環境で保存すれば、約1年は品質が保持できるといわれています。まずは、冷凍食品が長期間保存できる理由について見ていきましょう。
食べ物の品質を示す食品表示には消費期限と賞味期限があります。2つの違いについては以下の通りです。
消費期限 | 賞味期限 |
安全に食べられる期限 | 美味しく品質を保てる期限 |
品質が急激に低下する食品に設定される | 比較的長持ちする食品に設定される |
生肉・弁当・惣菜・ケーキ・パンなど | 冷凍食品・スナック菓子・缶詰など |
消費期限を過ぎると腐敗が進みやすくなるため、安全に食べることはできません。一方、賞味期限を過ぎた食品は、味が落ちることはあるものの、ある程度の期間なら食べられるのです。
冷凍食品に設定されているのは賞味期限ですので、期限が過ぎていても食べられる場合があります。
食品は以下のような反応によって、腐敗したり味が落ちたりします。
食品を冷凍することで、これらすべての反応を抑えることができるのです。
ただし、冷凍によって食品中に氷が生じると、食品が変化し味が落ちてしまいます。特にゆっくりと冷凍された場合に氷は生じやすくなります。
その点、冷凍食品メーカーは、食品の品質を保ったまま急速冷凍することが可能です。高い技術があるからこそ、冷凍食品は長期間美味しさを保てているのです。
冷凍食品が保存できるのは、JIS規格によって-18℃以下と定められています。家庭用の冷凍庫もその基準を満たしているため、4か月は品質が保持できるといわれているのです。
しかし、扉の開閉頻度が多いなど、使い方によっては温度が保てない場合があります。そのことを考慮すると、購入から2〜3か月が目安となるでしょう。なお、温度の変化が激しいドアポケットでの保存では1〜2か月が目安です。
表示されている賞味期限を参考にしつつ、なるべく早く消費するのがおすすめです。
冷凍食品は賞味期限が切れていても、ある程度なら食べられます。ただし明らかに見た目が変化している場合や、間違った保存方法をした場合には、健康を害する恐れがあるため食べないようにしましょう。
ここでは食べるのを避けた方がいい冷凍食品の特徴を紹介します。
食品に霜がついているのは、食品から水分が移動したサインです。品質が変化し、いわゆる「冷凍焼け」を起こしている可能性があります。
食品から水分が失われているため、食感がパサパサになったり、色や臭いが悪くなったりしている可能性があるでしょう。
少量の霜であれば問題ありません。しかしパッケージだけではなく食品全体にびっしりと霜がついている場合は、食べないようにしてください。
家庭の冷凍庫で冷凍食品を保存していると、温度変化により食品についた氷が昇華して気体になることがあります。すると袋の中の空気が膨張してパッケージが膨らむのです。
この場合は品質にそれほど問題はないため、食べられる場合が多いです。しかし、腐敗して食品からガスが発生している場合も同様にパッケージが膨張します。
見た目や臭いから慎重に判断して、少しでも異変を感じたら廃棄した方がいいでしょう。
賞味期限は未開封の状態で適応される基準です。そのため、開封された時点で賞味期限は意味のないものになってしまいます。開封後は品質が低下する恐れがあるので、1〜2週間を目安になるべく早く食べるようにしましょう。
開封してから半年以上冷凍しているものなど、大幅に時間が経過しているものは品質が損なわれている可能性が高いです。開封したものは冷凍庫の目立つところに置くなど、早く消費できる工夫をしてみましょう。
冷凍食品は1度解凍させたら生ものと同じ扱いになり、賞味期限も無効になります。そのまま放置していると腐敗が進んでいきますので、なるべく早く消費するようにしてください。
なお、家庭の冷凍庫で再凍結させた場合はゆっくりと冷却されます。メーカーで急速冷凍させたときと違って食品内に氷が発生しやすく、品質を低下させてしまうのです。
分けて使う場合は必ず1回量のみ解凍し、それ以外は冷凍したままにしておきましょう。
アイスクリームは-18℃の環境で保存すれば品質の低下が少ない食品です。また、アイスクリームをはじめとする乳製品は「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」により品質基準が厳しく定められています。
そのため、安全性が高く劣化が少ないことから、食品表示基準により賞味期限の表示を省いてもいいことになっているのです。
ただし、開封したり口を付けたりしたアイスクリームは、腐敗が進むことがあります。その場合はなるべく早めに消費した方がいいでしょう。
冷凍食品の廃棄を減らすためにも、美味しい状態でなるべく長く保存したいところです。ここでは冷凍食品を美味しく長持ちさせるコツを解説します。
どれもすぐに実践できるものばかりですので、冷凍食品を購入した際には試してみてください。
スーパーなどで冷凍食品を購入したら、なるべく早く冷凍庫に入れましょう。長く常温で置いておくと、冷凍食品はみるみるうちに溶けてしまいます。溶けた時点で品質が変わり、霜がついたり味が落ちたりする可能性があるのです。
冷凍食品を購入する際は、以下のような工夫をしましょう。
このようになるべく冷凍された状態を保つことが大切です。
冷凍庫の扉を開閉するたびに庫内の温度が上昇してしまいます。冷凍食品は-18℃の環境を保つことが大切なので、扉の開閉は最小限にしましょう。
そのためには冷凍庫の中身を把握しておく必要があります。何がどこに入っているかが分かれば、スムーズに取り出せて扉を開ける時間を減らせるでしょう。
また、買ったものを収納するときも開けっ放しは避け、なるべく短時間で収納するよう心がけてください。
ご飯やおかずの余りを冷凍保存する方は多いのではないでしょうか。しかし温かいまま冷凍庫に入れてしまうと、庫内の温度が上昇し、他の食材や冷凍食品が傷む原因となります。そのため、必ず十分に冷ましてから冷凍庫に入れてください。
庫内の温度を上げにくくする対策として、なるべく隙間を空けずに食品を詰め込む方法があります。こうすることで食品同士が保冷材の役割を果たしてよく冷えるようになるのです。
開封して空気が入ると、酸化や乾燥が進み品質が低下していきます。そのため、開封後は空気を抜いて密閉し、食品が空気に触れないようにしましょう。
その際、パッケージをテープや輪ゴムで止めるだけでは不十分です。真空パックの保存容器やフリーザーバッグに入れ替えると、しっかり密閉できます。自宅にそのような道具がない方は、ラップで包むだけでも効果的です。
ただし、いくら密閉しても開封済みのものは劣化が早くなります。正しく保存したうえで、早めに消費するようにしましょう。
今回は冷凍食品の賞味期限について解説しました。冷凍食品は冷凍することで食品のあらゆる変化を抑えるため、長期間の保存が可能です。そのため賞味期限が切れていても、食品の状態によっては食べられます。
以下のような状態のときは品質が低下してる恐れがあるため、食べずに廃棄するようにしましょう。
冷凍食品を長持ちさせるためには、庫内の温度を一定に保つことが大切です。扉の開閉は最低限にし、温かいものは冷凍庫に入れないように注意してください。
冷凍食品を正しく保存して、美味しく安全に味わいましょう。
この記事を書いた専門家(アドバイザー)
著者情報 ゼロカラ編集部
超高速凍結機、急速凍結機、液体凍結機、ナトリウム除去装置、凍結製造ライン設計の株式会社ゼロカラ
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