冷凍食品をそのままお弁当に入れ自然解凍させるという時短テクが流行しています。しかし冷凍食品は自然解凍ができるものと、そうでないものがあるのをご存知ですか?
自然解凍に適していないものを間違った方法で解凍すると、食中毒など思わぬ危険にさらされるかもしれません。そのため冷凍食品は食品の種類や用途によって、それに合った解凍方法を選択することが大切です。
今回は冷凍食品の正しい解凍方法を紹介します。
目次
冷凍食品は基本的に自然解凍できるものなのでしょうか。まずは自然解凍できるかどうかの見分け方や、自然解凍する場合の注意点を紹介します。
冷凍食品の中には自然解凍で食べられるものもあります。しかし冷凍食品のすべてが自然解凍に対応しているわけではありません。自然解凍できる冷凍食品は、厳しい基準をクリアしているものです。そのため加熱が必要な冷凍食品は必ず加熱してから食べるようにしてください。
加熱が必要かどうかはパッケージに明記されているので、確認してから食べるようにしましょう。一方「自然解凍OK!」などのマークが入っていれば、そのままお弁当に入れても問題ありません。
自然解凍に対応した冷凍食品でも、食中毒の危険が全くないと言うわけではありません。想定よりも高温環境下で長時間放置されると、その分菌は増殖します。他の食品に付着した菌が増殖している可能性もあるため、十分に注意しましょう。
夏場は以上のような工夫をすると食中毒の危険を減らせます。
自然解凍の冷凍食品をお弁当に入れる時は、清潔な菜箸などを使いましょう。私たちの手はいくら清潔にしていても雑菌が付いています。その雑菌が食材に移ると、お弁当の中で繁殖して食中毒の原因となるのです。そのため手でお弁当に具材を詰めるのは避け、洗浄した清潔な調理器具を使用しましょう。
冷凍食品を解凍する方法は6つあります。それぞれのメリット・デメリットや、適した食品について見ていきましょう。
冷凍食品をそのまま常温に置いて自然に解凍させる方法です。冷蔵庫解凍よりも早く簡単に解凍できますが、長時間放置すると食中毒菌が増殖する恐れがあります。2〜3時間ほど自然解凍をしたら、冷蔵庫にしまうか調理を始めるようにしましょう。
自然解凍が適している食品としては既に加熱調理されたおかずや、品質低下のしにくい食品です。生ものは食中毒の危険があるため、常温解凍は避けましょう。
冷凍食品を冷蔵庫に移して解凍する方法です。温度変化が少ない分、ドリップが少なく済みます。品質の変化が少ないため、生ものなど鮮度を保ちたい食品にも適した解凍方法です。
デメリットとしては解凍に時間がかかることです。食品の大きさにもよりますが、大体半日以上はかかります。そのため今すぐに食べたい食品には適していません。冷蔵庫解凍は食べるまでの時間を逆算して、計画的に行うようにしましょう。
水を張ったボウルに冷凍食品を密閉した状態のまま入れ、そこに水を流し入れながら解凍する方法です。食材が浮いてきてしまう場合は、重しを乗せて沈み込ませるとうまく解凍できます。
水によって解凍するため熱伝導率がよく、冷蔵庫解凍よりもスピーディです。食品の大きさにもよりますが、大体30分以内には解凍が終わるでしょう。
デメリットとしては、短時間で温度変化が生じるためドリップが出やすいことです。生鮮品の場合は半解凍の状態で取り出すのが望ましいでしょう。また水を流し続ける必要があるため水道のコストがかかります。
ボウルなどに水と氷を入れて氷水を作り、そこに密閉されたままの冷凍食品を沈ませて解凍する方法です。水温は0℃近くに保たれるので品質の劣化が少なく、ドリップも最低限に抑えられます。生食用の刺身や馬肉など、冷たいまま食べる食品に適した方法です。
また空気よりも液体の方が熱伝導率がいいため、冷蔵庫よりも早く解凍できます。食品の大きさにもよりますが、解凍時間は大体2〜3時間程度です。デメリットは氷を大量に用意する必要があることです。解凍途中で氷が溶けてきた場合は、追加して水温を低く保ちましょう。
凍ったままの冷凍食品を電子レンジに入れ、加熱して解凍する方法です。数分加熱するだけで解凍できるため、急いでいる時やすぐに調理をする時などに役立ちます。
デメリットは加熱ムラが生じやすいことです。同じだけ加熱しても食品の厚みや場所によって、まだ凍っていたり、火が通り過ぎたりしてしまうことがあります。また温度変化が激しいためドリップが生じやすく、食感や味が悪くなることもあるでしょう。
生ものの電子レンジ解凍はなるべく避け、加熱調理済みのものや加熱まで行いたい食品の時に使うのがおすすめです。
凍ったままの食品をフライパンや鍋に入れ、そのまま加熱調理する方法です。解凍にかかる時間や手間を省くことができます。また解凍による食品へのダメージも少ないため、品質低下も少なくて済みます。
デメリットは食品の選択肢が限られることです。この方法は生で食べる予定の食品には使えません。解凍してすぐに加熱調理する食品にのみ有効です。例えば冷凍食品の餃子や焼売、バラ凍結された肉や野菜などに使えます。
さまざまな解凍方法がある中でおすすめの方法をお伝えします。
食品によって1番最適な解凍方法は異なります。市販の冷凍食品の場合は、もっとも美味しく食べられる方法がパッケージに記載されています。そのため自己流で解凍したりせず、パッケージの方法に従うのが安全です。
刺身の柵や冷凍エビ・カニなど、生で食べる食品は冷蔵庫解凍がおすすめです。低温で時間をかけてゆっくり解凍するため品質劣化が抑えられ、美味しく安全に食べられます。
氷水解凍は冷蔵庫よりも短時間で済みますが、氷水の用意や氷を追加する手間がかかります。その点冷蔵庫解凍は冷蔵庫に移すだけなので簡単です。次の日に使う予定の食品は前日のうちに冷蔵庫に移しておきましょう。
とにかく時短を考えるなら電子レンジが1番です。他の解凍方法が数時間、短くても数十分かかるところ、電子レンジなら数分で解凍できます。ドリップによる品質の変化は避けられませんが、急いでいるときは電子レンジを活用しましょう。
お弁当を作る習慣がある方の中には、自分でお弁当用のおかずを作り置きして冷凍している方もいるでしょう。保冷剤代わりに凍ったままの食品をお弁当に入れている方もいるかもしれません。
しかし、家庭で自作した冷凍食品を自然解凍で食べるのは危険です。家庭のキッチンはいくら清潔にしていても雑菌だらけです。知らないうちに混入した雑菌が、自然解凍により増殖すれば食中毒になる危険性があります。作り置き冷凍食品は必ず加熱して、冷ましてからお弁当に入れましょう。
今回は冷凍食品の正しい解凍方法について解説しました。冷凍食品の中には自然解凍ができるものと、そうでないものがあります。間違った解凍方法をすれば、食中毒の危険もあるため要注意です。
必ずパッケージの表示を確認し、冷凍食品に合った解凍方法を選択しましょう。便利な冷凍食品を活用しながら、美味しく安全な食事を楽しんでくださいね。
この記事を書いた専門家(アドバイザー)
著者情報 ゼロカラ編集部
超高速凍結機、急速凍結機、液体凍結機、ナトリウム除去装置、凍結製造ライン設計の株式会社ゼロカラ
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