食材や余った料理を長く保存できる冷凍庫ですが、長い間冷凍していると冷凍焼けという変化が起こります。
冷凍焼けや食材の見た目や味に影響がある、厄介な症状です。
今回は冷凍焼けの原因とともに、冷凍焼けの見分け方や美味しい解凍方法について解説します。
冷凍焼けを防ぐ保存テクニックについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
長く食材を冷凍することで、見た目や食感に変化が起こる冷凍焼け。
冷凍焼けが起こる原因は乾燥と酸化であり、長く冷凍すればするほど悪化してしまいます。
ここでは冷凍焼けが起こる原因について確認していきましょう。
冷凍焼けする主な原因は、乾燥と酸化です。
長期間冷凍保存された食材は、空気に触れることで水分が蒸発してしまい、乾燥していきます。
乾燥した食材に空気が触れると酸化が進み、食材の冷凍焼けが進んでしまいます。
蒸発した水分が食材を覆って霜のような氷晶がついているのも、冷凍焼けによる劣化の症状です。
冷凍庫を開けると庫内で温度変化が起こり、何度も乾燥と酸化を繰り返すため、長く冷凍すればするほど冷凍焼けは悪化します。
冷凍焼けした食材には霜がついていることが多いですが、実は冷凍焼けしていなくても食材に霜はつきます。
霜には食材についている水分が凍ってできているものと、品質保持のためにグレーズ(氷の膜)をつけているものがあります。
冷凍食品や冷凍された魚介類を購入した際に霜がついていても、基本的には心配ありません。
しかし、自宅で長期間冷凍保存している内に霜がついてくるようであれば、冷凍焼けによる霜の可能性があるため注意しましょう。
結論からいうと、冷凍焼けしてしまった食材を食べても問題はありませんが、風味が落ちているため、美味しく食べられない可能性が高いです。
冷凍焼けした食材を美味しく食べるには、煮込み料理や水分が多いスープ系の料理など、調理に一工夫する必要があるでしょう。
ただし、冷凍焼けが悪化する際の温度変化や、保存時の状況によっては、食中毒菌が潜んでいるケースもあります。
なかには冷凍だけでは死滅せず、活動を停止するだけの食中毒菌もあるため、調理する際はしっかりと加熱を行ったうえで食べるようにしましょう。
パッと見はただ霜がついているだけと思っていても、実は冷凍焼けしていた…というケースも少なくありません。
ここでは冷凍焼けを見分ける方法を3つご紹介します。
冷凍焼けした食材はまず、見た目に変化が起こります。
お肉であればところどころ黒っぽく変色していたり、野菜であれば水分が抜けてボコボコしていたりと、食材によって冷凍焼けの症状は異なります。
また、食材に霜のような氷晶がついているのも冷凍焼けの症状です。
食材を解凍した後も、冷凍焼けした部分はザラザラとしているので、見た目だけでも見分けやすいでしょう。
冷凍焼けが起こると食材が酸化しているため、臭いが強くなります。
特にお肉や揚げ物は酸化しやすく、油焼けしてしまうと臭くなりやすいです。
もともと臭いの強い食品であれば、臭いがきつくなってしまうケースもあります。
冷凍しても食品の酸化は避けられないため、冷凍した食材の臭いが強くなってきたら冷凍焼けしている可能性が高いでしょう。
水分が蒸発して冷凍焼けが進行すると、パサついたり食感が悪くなったりします。
冷凍焼けの主な症状である乾燥は、食材の風味を大きく落としてしまうため、味付けの薄い料理では食感が悪くなってしまうでしょう。
特に野菜系は冷凍焼けによる症状が感じられやすいため、調理する際は工夫が必要です。
冷凍焼けしてしまった食材でも、うまく解凍・調理すれば美味しく食べられます。
ここからは食材ごとに美味しく解凍するコツとおすすめの調理方法をご紹介します。
冷凍焼けしてしまったおにぎりやご飯は、乾燥によってパサついてしまっているため、電子レンジで加熱しつつ水分を与えるのが一番です。
解凍方法
お酒を加えて温めると冷凍焼けで強くなった臭いを抑えて、ふっくらとしたおにぎりに復活します。
冷凍したご飯も同じ手順で温めると、美味しく食べられるのでぜひ試してみてください。
冷凍焼けしてしまったお肉は塩水の浸透圧を利用することで、元の柔らかさや美味しさが取り戻せます。
解凍方法
冷凍焼けしたお肉は臭いがきつくなっていることが多いため、煮込み料理にすると美味しく食べられます。
また、生姜焼きなどしょうがやにんにくを使った調理方法であれば、臭いが気になりにくいので試してみてください。
お魚もお肉と同様に塩水を活用した解凍がおすすめです。
お肉と異なるのは、お魚は解凍時にでるドリップ(旨味成分)が出てしまいやすいため、ドリップの出にくい温塩水解凍法が向いています。
解凍方法
また、氷水を活用した氷水解凍法もドリップができにくい解凍方法です。
解凍したお魚は照り焼きや味噌煮など、しっかりとした味付けで調理すると美味しく食べられるでしょう。
冷凍したうどんは、そのまま解凍してしまうとふにゃふにゃとコシがなくなってしまい、加熱した際にちぎれやすくなってしまいます。
うどんの状態にもよりますが、コシを残して美味しく解凍するには、加熱解凍がおすすめです。
解凍方法
冷凍焼けしてしまったうどんは食感が気になる場合が多いため、煮込みうどんにするとあまり気にせず食べられます。
また、濃い味付けの調理も向いているので、電子レンジで時短カルボナーラうどんなどにしてもよいでしょう。
野菜は特に冷凍焼けで風味が失われやすく、食感が悪くなりやすいため解凍方法や調理方法には工夫が必要です。
冷凍焼けした野菜を解凍する際は、火の通りやすさで解凍方法が異なります。
解凍方法
火が通りにくい野菜は、凍ったまま調理すると生焼けになってしまう可能性があるため、一度電子レンジで加熱解凍したほうが安心です。
しかし、煮込み料理であればしっかりと中心部まで火が通りやすいため、そのまま使っても問題ありません。
葉物野菜やもやしなど火が通りやすい野菜は、そのまま調理できますが、霜がついたままだとベチャッとしてしまうため、できる限り霜は落としてから調理しましょう。
冷凍焼けしたパンは乾燥によって縮んでいる場合が多く、パサパサしてしまっているため、トーストするのがおすすめです。
そのままトーストしてしまうとパサつきが気になるため、蒸し器に入れて温めるのもいいでしょう。
解凍方法
また、トーストして食べる以外にも、油や調味料をまぶしてクルトンにする方法や、パン粉にしてしまうのもおすすめです。
食材を保存する際に一手間加えるだけでも、冷凍焼けを防止できます。
ここからは冷凍焼けを防ぐための保存テクニックを4つご紹介します。
冷凍焼けしやすい食材は水分や油分の多い固形の食材です。
たとえばお肉やお魚、揚げ物は冷凍焼けしやすい食材といえるでしょう。
食材によっても冷凍焼けによって劣化してくる期間は、下記のように異なります。
食材 | 期間 |
お魚 | 2〜3週間 |
野菜 | 3週間程度 |
揚げ物
お肉 焼き菓子 |
1ヶ月程度 |
スープ | 2週間〜1ヶ月程度 |
チーズ | 3週間〜1ヶ月程度 |
どの食材でも冷凍保存できるのは大体1ヶ月前後です。
長期間の冷凍保管は冷凍焼けしやすく、調理を工夫しても美味しく食べられなくなってしまうかもしれません。
また、お肉であっても空気に触れやすいひき肉は2週間程度で品質が劣化してくるため、できるだけ早く食べるようにしましょう。
冷凍焼けは空気に触れることで乾燥と酸化が繰り返されるため、保存する際はできるだけ密閉するのが大切です。
冷凍する前にラップに包み、冷凍保存ができるジップロックなどに入れて保存すれば、冷凍焼けを防止できます。
また、真空状態で保存できるシュリンク包装なども、冷凍焼けを防ぐ方法としておすすめです。
冷凍庫の開閉によって温度変化が起こると、食材が溶けて水分の蒸発につながります。
庫内の温度を一定に保つのは、冷凍焼けを防ぐためにも重要なポイントなので、冷凍庫の開け閉めはできるだけ減らしましょう。
開ける際もできるだけ短時間に抑えると、庫内の温度が急上昇せずに済みます。
急速冷凍は食材のなかにある水分を細かく凍らせるため、細胞を壊さず鮮度を保ったまま保存が可能です。
食材の細胞が破壊されずに冷凍ができると、解凍したときのドリップもできにくくなるため、美味しさを保ったまま冷凍できます。
家庭用冷凍庫にも急速冷凍機能が搭載されているので、一度取り扱い説明書を確認してみてください。
下味冷凍は食材の酸化を防いでくれるだけでなく、調理の時短にもつながります。
食材を購入してすぐに下味冷凍しておけば、調理する際もしっかりと下味がついて美味しく食べられるでしょう。
味付けをしたくない食材は、油を塗ったり、少量の砂糖水につけたりするだけで、冷凍焼けを防げます。
ここからは簡単に冷凍焼けを防ぐ裏ワザをご紹介します。
家庭でできる簡単な冷凍焼け対策は、次の3つが有効です
冷凍焼けする前に食べる
冷凍庫内の温度を上昇させない
購入したまま冷凍させない
冷凍焼けを防ぐには、早く食べてしまうのが一番です。
冷凍庫内の温度上昇によって冷凍焼けは起こるため、温度を低温に保ち、できるだけ早く食べるのが冷凍焼けの対策になります。
また、お肉やお魚などは食品トレーにいれたまま冷凍すると空気に触れやすいため、必ずラップやジップロックなどで密閉してから冷凍しましょう。
冷凍焼けを防止するグッズを活用するのも対策として有効です。
食品用ラップやフリーザーバッグなどを活用すれば、一般的なラップよりも鮮度を保ったまま冷凍できます。
また、近頃は簡単に真空状態にできるフードシーラーの活用も注目されています。
ハンディタイプのフードシーラーなど、手軽に使えるタイプも増えてきているのでチェックしてみてください。
飲食店や給食センターなどでは、食品の品質を保つために業務用冷凍機を使用して瞬間冷凍しています。
業務用冷凍機は一般的な冷凍庫よりも早く冷凍が可能で、なかには不凍液(凍らない液体)を使って効率よく冷凍させているケースもあります。
たとえば、ゼロカラの超高速凍結機ZERO-03は、約5分で常温の食材を-20℃まで凍結が可能です。
素早く冷凍できるため豆腐やこんにゃくなどもスポンジのような食感にならず、根菜もみずみずしいまま冷凍できます。
食材が冷凍焼けしてしまうと、見た目や食感が劣化し、美味しく食べられなくなってしまいます。
冷凍焼けを防ぐには、食材の密閉や下味冷凍が有効です。
また、急速冷凍機能を活用すると食材が乾燥せず、美味しさを保ったまま冷凍できます。
ゼロカラの超高速凍結機ZERO-03は、効率よく食材を冷凍できる小型の冷凍機で、レストランチェーン店や食品加工店にもおすすめの冷凍機です。
超高速凍結機ZERO-03であれば、急速冷凍で食材の美味しさをそのままに、食品ロスも減らせるでしょう。
ゼロカラのテストキッチンでは、超高速凍結機ZERO-03による凍結から解凍、試食まで無料でテストできるので、興味のある方はぜひお問い合わせください。
この記事を書いた専門家(アドバイザー)
著者情報 ゼロカラ編集部
超高速凍結機、急速凍結機、液体凍結機、ナトリウム除去装置、凍結製造ライン設計の株式会社ゼロカラ
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