和食や洋食など、どのようなジャンルにも活用できる鶏肉は、冷凍しておくと毎日の買い物の負担が減ったり、下味をつけて冷凍したりすれば献立に悩む時間も少なくなりますよね。
本記事では、そのような冷凍鶏肉の正しい解凍方法について紹介します。
解凍時のポイントや注意点、おすすめの活用法についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
冷凍鶏肉の解凍方法はさまざまな種類がありますが、解凍方法によってかかる時間や手間などが変わってきます。おすすめの冷凍鶏肉の解凍法は以下の5点です。
では、順番に解説します。
鶏肉の解凍方法で最も安全なのが庫内解凍です。前日か当日の朝に冷凍庫から冷蔵庫に移すだけなので、手間もかかりません。また、急激な温度変化が起こらないよう時間をかけてゆっくりと解凍するので、鶏肉のドリップを抑えられ品質の劣化を防ぎます。
庫内解凍の場合、解凍時間はおよそ5〜8時間となっています。庫内へ移す際には、お肉が冷蔵庫内の他の食品に付着しないようにバットやトレーなど容器に入れたり、袋に包んでから解凍したりするのがおすすめです。
氷水解凍は、ボウルに氷水をはり、その中に冷凍した鶏肉を袋ごと入れて解凍する方法です。庫内解凍よりも解凍速度が早く、鶏肉1枚であれば、約1〜2時間で解凍ができます。
温度を一定に保ちながら解凍させるためドリップが出にくく、うま味も鶏肉の外に流れにくいうえ、空気よりも水の方が熱伝導性に優れており、常温解凍や冷蔵庫よりも解凍が早いです。
流水解凍は氷水よりも早く解凍できるため、当日解凍におすすめです。1枚あたり10分〜15分ほどで解凍でき、ボウルに袋ごと鶏肉を入れて水を流し、おもしで水中に沈めながら水の対流を生かして解凍していく解凍方法となっています。
ドリップが出にくく、生煮えにならない一方で、水を大量に使うため、水道代がかかってしまいます。また、夏と冬では解凍時間に差があるため、こまめに状態を確認しながら解凍するようにしましょう。
今すぐ使いたい、時間がないという方には電子レンジ解凍がおすすめです。解凍中は、鶏肉からドリップが出やすいため、下にペーパーを敷いて吸わせることで、ドリップによる匂いを防げます。
また、加熱しすぎや加熱ムラなどが生じやすいので、なるべく低ワットでひっくり返しながら解凍したり、「解凍モード」を使って解凍したりするようにしましょう。
また、電子レンジ解凍は細菌増殖のリスクもあるため、解凍した鶏肉は当日中に消費するようにしましょう。
少し変わった解凍方法として、フライパン解凍があります。冷凍の鶏肉を袋に入れ、水の入ったフライパンに入れます。火にかけ、強火で3〜4分加熱し、蓋をして1分放置することで、中をスチーム状態にできるのが特徴です。
肉の組織が壊されやすいうえ、ドリップも多く流れ出たり、火が入りすぎたりする可能性もあるので、時間がない時のみ使うようにしましょう。また表面と内部の温度差が激しいため、塊肉や丸鶏よりも1枚ずつの解凍に向いています。
鶏肉の解凍法にはただ解凍をするだけではなく、おいしく食べるために抑えておきたいポイントがあります。解凍のポイントは以下の4点です。
では、順番に解説します。
それぞれの方法で解凍していくうえで、半解凍あたりで調理作業に入るのがおすすめです。
鶏もも肉の場合、完全に解凍してしまうと筋がカットしにくくなったり、肉の脂が溶けやすく、ドリップが出てしまったりします。
外側のみが解凍されている半解凍の状態では、かたまりの肉であれば包丁で切りやすく、ひき肉の場合であれば手で好みの量に分けやすいうえ、ドリップも出にくいというメリットがあります。
半解凍の鶏肉をそのまま調理に使う場合は、じっくり火を通し、中心まで火が通っているかどうかこまめにチェックするようにしましょう。
冷凍鶏肉の解凍にゆっくりと時間をかけることで、うま味の元である肉汁の流出を防ぎ、品質を保てます。急速解凍してしまうと、冷凍されていた鶏肉の水分によってできた氷の塊が細胞を破壊してしまいます。
破壊された部分から、肉の水分や栄養素、うま味が豊富に含まれているドリップが流れ出てしまい、おいしさを損なうだけでなく臭みの原因にもなるので注意が必要です。
ゆっくり低温で解凍することで、お肉の細胞内の水分が外にもれずパサつかなくなります。
解凍を終えたばかりの鶏肉は、冷蔵していた鶏肉よりも冷たい状態です。そのため、焼いた時に中心まで火が通りきっていないリスクが生じます。
中が生焼けにならないよう、解凍し終えたあとも10分〜30分を目安に室温に戻してから調理するようにしましょう。
低温でゆっくりと解凍してもどうしてもドリップは出てきてしまうもの。放置してそのまま調理に使ってしまうとアクや臭み、焼きムラの原因になり、料理も水っぽくなってしまいます。
そのため冷凍鶏肉をおいしく調理するには、キッチンペーパーでしっかりと水気を拭き取ることが大切です。
冷凍鶏肉の解凍方法は様々な種類がある一方、間違った解凍方法をしてしまうと、肉の品質を劣化させたり、菌の繁殖を促したりするリスクがあります。解凍時の注意点は以下の3点です。
では、順番に解説します。
常温解凍やお湯での解凍は他の解凍方法よりも圧倒的に早いですが、流れ出るドリップが多く、お肉のうま味も落ちて菌の増殖を促し、肉が痛んでしまいます。
お湯での解凍は表面と内部の温度差が激しくなるため一見解凍できているように見えても、中は凍ったままの状態となり、肉の品質が劣化してしまうので使わないようにしましょう。
さらに低いぬるま湯の温度で解凍に関しても、細菌が活性化してしまい食中毒の危険性も高まるため、注意が必要です。
ほかにも真夏の室内や、日当たりのある場所に長時間置いておく自然解凍もお肉自体が傷んでしまいます。
どうしても急ぎで解凍したいという場合には、電子レンジ解凍を使いましょう。
せっかく解凍した鶏肉を使いきれず再冷凍してしまうという方も多いですが、肉の品質が落ちてしまうため、再冷凍はしないようにしましょう。再冷凍した鶏肉は肉の水分が抜けてパサつくうえ、さらにドリップが出やすく菌の増殖も進みます。
冷凍焼けの原因にもなるので、解凍する際は食べる分だけ解凍し、冷凍時も小分けにして冷凍するなどの工夫をして、その日のうちに消費しきるようにしましょう。
解凍した鶏肉が臭いという場合は、「冷凍焼け」をしてしまっている可能性が高いです。
長期間冷凍しているお肉は、肉中から水分が抜け出し庫内の冷気によって乾燥し、その隙間に空気が入ることでお肉が酸化してしまうことを冷凍焼けといいます。
冷凍焼けをしたお肉は風味が落ち、味もパサつきを感じやすいです。また、独特の臭いも放つので、冷凍時にしっかりとラップをしたり密閉性の高い袋に入れて保存したりするのが大切です。
万が一、解凍時に冷凍焼けしてしまった部分を見つけたら、カットして使わないようにしましょう。
しっかりとラップをしておいた状態であれば冷凍では2〜3週間、下味をつけて冷凍している場合は味噌や醤油など発酵食品によって保存性が上がるため、最長で1ヶ月が目安となっています。
長期で保存できる一方、冷凍保存期間が長すぎると冷凍焼けを起こす可能性があるので注意しましょう。
また、家庭環境では冷蔵庫の温度が低く、衛生的に調理作業を行うのも難しく一度解凍した鶏肉は時間の経過で細菌が増殖していくので、なるべくその日中に食べ、遅くても2日までには消費する必要があります。
特に電子レンジ解凍や、フライパン解凍はドリップの流出が多く、最近の繁殖も早いため、当日中に消費しましょう。
冷凍鶏肉は冷蔵よりも品質は劣るものの、うまく解凍すればおいしさはそのまま維持できます。ここからは、解凍した鶏肉のおすすめの活用法を紹介します。
半解凍した冷凍鶏肉はカットがしやすいものの、調理時に火が通っているか不安になりますよね。時間のかかる煮込み料理にすれば、じっくりと肉の芯まで火が通るうえ、お肉の流れ出てしまううま味がスープに染み込むので、安心しておいしく調理できます。
下味をつけておいた冷凍鶏肉であれば、解凍してすぐに調理作業へ入れます。唐揚げなど、油を多く使う料理の場合は、しっかりと解凍した鶏肉水分を拭き取ってから揚げるようにしましょう。
炒めものは、調理や洗い物の手間が省けるうえ、夕飯のおかずやお弁当、作り置きなどさまざまなシーンで活用できるのでおすすめです。
冷凍鶏肉の解凍法は基本的にゆっくり時間をかけて解凍すると品質を損なわずに調理できます。夏場の暑い空間での環境や熱湯での解凍は食中毒の危険があるので、温度に気をつけながら、うまく解凍して日々の家事の負担を減らしましょう。
この記事を書いた専門家(アドバイザー)
著者情報 ゼロカラ編集部
超高速凍結機、急速凍結機、液体凍結機、ナトリウム除去装置、凍結製造ライン設計の株式会社ゼロカラ
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