「冷凍した食材を急いで解凍して料理を作りたい」「流水解凍の正しいやり方はあるのかな」
流水解凍は、急いでいるときに便利な方法だと知っている方も多いと思います。しかし正しい方法を知らず、食材をおいしく調理できずに悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、流水解凍の特徴や解凍手順、注意点について詳しく解説していきます。流水解凍の正しい方法を理解し、冷凍食材をより活用できるようになるので、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
流水解凍とは、水を流しながら冷凍した食材を解凍する方法です。密閉されている食品や、水に触れても問題のない食品などが流水解凍に使えます。
解凍方法は自然解凍や冷蔵解凍などさまざまな種類があるものの、流水解凍は早く解凍できるという点が大きなメリットです。
また、食材の中でも流水解凍に適しているものと適していないものがあります。流水解凍に適している食材は、以下の4つです。
1つ目は調理済み食材です。流水解凍は水に触れる面から酵素反応によって食品の色や食感が変化していきます。そのため、生の食材を入れると鮮度が落ちやすくなり、酵素反応が起きやすくなります。
調理済み食品であれば火を通し味付けされているので、解凍後の品質低下が少なく手軽に調理できますよ。加熱によって酵素反応が抑えられるため、解凍してすぐ安心して食卓に並べられるのもうれしいポイントですね。
2つ目は、下味のついた半調理品です。下味調理がされていることで、食材に風味や旨味がつき、解凍中に起こりやすい色や食感の変化を抑えられます。
3つ目は下茹で済みの野菜です。下茹で済みの野菜はすでに加熱されているため、解凍時の変色や食感の低下を抑えられます。素早く解凍して新鮮な状態で調理できます。
4つ目は厚みのある生鮮品です。肉の塊、ローストチキン、エビなどは半解凍の状態で調理を進めることができるため、流水解凍に適しています。
ここからは、流水解凍の特徴について解説していきます。ほかの解凍と異なる流水解凍のポイントは以下の3つです。
では、順番に解説します。
流水解凍は、解凍時間の速さが魅力。水を流して解凍するため、水の熱伝導率がよくなり解凍時間も早くなります。
食材ごとの主な解凍時間の目安は、以下になります。
食材の大きさにもよりますが、ほとんどの食材の場合はおよそ30分以内に解凍が可能です。そのため、時間がないときの食事の準備や調理時間の短縮に役立つでしょう。
流水解凍に必要なのは、水を貯める容器と水だけなので、他に手間はかかりません。
特別な道具も必要なく、プロの方も活用している方法で、家庭でも水道水を使ってすぐに始められるというメリットがあります。
しかし、水を出しっぱなしにするため「もったいない」や「水道代がかさむのではないか」というデメリットもあります。
水道代が気になるという方は、下記の方法をぜひ試してみてください。
手間がかからず時間短縮になる点が、流水解凍の大きなメリットです。
流水解凍は解凍時間が早い一方で、ドリップが出やすくなるというデメリットもあります。ドリップとは、解凍時に食材から水分や栄養成分が一緒に流れ出てしまうことです。
ドリップが出てしまうと食材の旨味が流れたり、パサついて質感が低下したりします。また、解凍時の水の温度が高いと雑菌が繁殖し、食中毒の可能性もあるため注意しましょう。
ドリップを防ぐには、スーパーで購入してきたパックのまま冷凍しないように心がけるのが大切です。すでにドリップが出ており、そのまま冷凍してしまうと臭みの原因につながります。
そのため、購入後はキッチンペーパーで一度拭き取ってから保存袋に入れ替えて冷凍しましょう。
では、流水解凍の正しい手順とはどのような方法なのでしょうか。ここでは、解凍時の手順についてご紹介します。
まずは、大きめの容器に水を張りましょう。食材がすべて入る大きさのバットやボウルなどに入れるのがポイント。食材がはみ出る大きさのものを使用すると、解凍に時間がかかったり味が悪くなったりする原因になるため注意しましょう。
大きいものを解凍する場合は、その分大きな容器が必要となります。複数解凍する必要があるものの、大きな容器がないときは分けて解凍するのもよいですね。
解凍の際には、食材を水に沈めるだけでなく水を流し続けるのも大切です。水を流し続ける理由は、熱伝導率を高めるためです。流した水が容器の中の水を動かすと熱伝導率が上がり、解凍時間の短縮につながります。
万が一食材が沈まずに浮いてしまう場合は、お皿などの重りを置いて食材をしっかりと沈めるとよいでしょう。
食材は常温状態になると解凍が進み、見た目や質感が変化していきます。流水解凍は「半解凍状態」で取り出すのがおすすめ。ひき肉であればほぐしやすく、塊肉であれば包丁の入りもよくなるでしょう。調理済み食品であれば、小分けにカットしやすいですね。
切りやすさの加減は人によって異なるため、自分の好みの解凍加減で取り出して早めに調理するようにしましょう。
流水解凍は手早く解凍できる便利な方法ですが、注意点もあります。ここでは、気をつけるべきポイントについて解説します。流水解凍の注意点は、以下の3点です。
間違った方法をとってしまうと、せっかくの食材を台なしにしてしまいます。これらのポイントをしっかりとチェックしておきましょう。
容器に流し続ける水の温度は、10〜40℃程度が適切です。熱湯など厚めのお湯を注ぎ水温が高くなると、ドリップが出やすくなったり食材の劣化が進んでいったりするため、注意しましょう。解凍するお湯の温度がぬるくなるにつれ、ドリップの量も増加していきます。
解凍するときは、空気を抜いて密閉した状態で行いましょう。密閉されていない袋を使用すると、水が中に入り込み、食材がふやけるだけでなく旨味も流れてしまいます。
また、袋の中に空気が入っていると、食材が水に接触せず熱伝導が悪くなり、解凍に時間がかかります。そのため、袋の空気をできるだけ抜き、密閉できるジップロックや保存袋に入れ替えてから解凍しましょう。
厚みのある食材を解凍する場合は、解凍ムラに注意しましょう。解凍ムラが起きてしまうと、食材の質に大きな影響を与えます。
解凍ムラを避けるためには、食材の入った袋に直接水を当てないようにしたり、途中で裏返したり向きを変えたりするとよいですよ。密閉状態で均等に熱伝導を与えるように、食材の状態を確認しながら、解凍してくださいね。
1つでも間違えると食材の品質に大きな影響を与える可能性があるので、注意しましょう。
解凍後は、できるだけすぐに使い切りましょう。解凍後の冷蔵庫保存はおよそ1日〜2日が目安とされています。 しかし、解凍すると味や品質だけでなく食感も落ちてしまうことがあります。
解凍した食材を使い切るために、あらかじめ使い切れる量で冷凍しておくのがおすすめです。食材を無駄にしないように、自分が使用する量を理解して解凍するようにしましょう。
流水解凍は水を流したまま放置できる解凍方法ですが、解凍されるまで水を流しっぱなしにするため、水道代が気になるという方も多いでしょう。ここでは、流水解凍以外のさまざまな解凍方法についてご紹介します。おすすめの解凍方法は以下の3つです。
では、順番に解説します。
時間に余裕がある場合は、庫内解凍がおすすめです。庫内解凍は、冷凍庫からお肉を冷蔵庫へと移し、低温でじっくり解凍していく方法です。解凍時間は食材の種類や大きさによって異なりますが、およそ半日〜1日ほど見ておくとよいでしょう。
解凍方法の中でも最も解凍時間がかかる一方で、温度変化が少ないためドリップの量を抑えられるでしょう。手間をかけずに鮮度を維持しながら解凍したい方にぴったりですね。
氷水解凍は氷を張ったボウルに解凍したい食材を入れて解凍する方法です。氷水によって冷たい状態を維持するので、ドリップの流出を最小限に抑えられるのが魅力。解凍時間はおよそ1〜3時間が目安となります。
夏や暑い時期には都度氷の補充が必要となりますが、食材をおいしく解凍したいときに使うとよいでしょう。
時間がなくすぐに使いたい方は電子レンジ解凍もおすすめ。急激な温度変化が生じるためドリップの出る量も多くなるものの、ほとんどの食材を5分程度で解凍できます。「解凍モード」が搭載されている電子レンジであれば、積極的に利用していきましょう。
解凍モードがない電子レンジであれば数十秒に分けて少しずつ加熱し、加熱ムラが起こらないよう注意しながら解凍するようにしましょう。
流水解凍は庫内解凍よりも解凍時間が早く、時間がないときにおすすめの解凍方法です。
流水解凍の際の大事なポイントをあらためてまとめると、以下の点になります。
今回あげた上記のコツや注意点を押さえて、冷凍食材を上手に活用し、食事の時間を楽しんでくださいね。
この記事を書いた専門家(アドバイザー)
著者情報 ゼロカラ編集部
超高速凍結機、急速凍結機、液体凍結機、ナトリウム除去装置、凍結製造ライン設計の株式会社ゼロカラ
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