お酒は冷凍庫に入れても完全に凍らず、アルコール度数によってとろとろになったり、みぞれ状に凍ったり、普段とは違う楽しみ方ができます。
半凍結状態のお酒は「みぞれ酒」や「パーシャルショット」など、お酒の種類によって呼び方も違います。
しかし、なぜお酒が凍らないのか、謎に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、お酒を凍らせて飲む方法とともに、凍らない謎やアルコールの活用方法について詳しく解説していきます。
「夏にキンキンに冷えたお酒を飲みたい」
「普段とは違うお酒を楽しみたい」
という方はぜひ最後までご覧ください。
目次
早くビールを冷やそうと冷凍庫に入れて、凍らせてしまった経験がある方もいるのではないでしょうか。
ビールはアルコール度数が低いため、冷凍庫の温度設定や入れている時間によっては凍ってしまいますが、実は冷凍庫に入れても凍らないお酒があります。
ここではお酒を冷凍庫にいれていいのか、凍らないお酒の謎について解説します。
アルコールの主成分であるエタノールは元々凍結温度が低く、水は0℃で凍りますが、エタノールの融点はマイナス114℃です。
そのため、アルコール度数の高いお酒ほど凍りにくく、ウォッカのような度数の高いお酒であれば冷凍庫に入れても凍りません。
一般的な家庭用冷凍庫はマイナス15〜18℃を保つよう設定されていて、日本酒程度のアルコール度数であれば凍る可能性があります。
お酒それぞれのアルコール度数をまとめると、以下の通りです。
酒造やメーカーによって同じお酒でも度数が異なるため、必ずしも凍らないとはいえませんが、日本酒よりもアルコール度数の高いものであれば基本凍らないでしょう。
凍りにくいウイスキーやウォッカが寒い地域で嗜まれているのも、アルコール度数を見ると納得できるのではないでしょうか。
アルコールは低い温度でも凍らないため、身近な場所で意外な使われ方をしているのはご存知ですか?
実はアルコールにはさまざまな種類があり、洗剤や燃料、消毒など幅広い分野で用いられています。
たとえば、食品工場や化学工場などでは、食品などを冷却するために、冷媒としてアルコールを活用しています。
冷凍食品を製造している企業では、冷却風でなくアルコールを活用した不凍液で食材を急速凍結させている企業もあります。
また、寒冷地では、道の凍結防止剤や、融雪剤にアルコールが含まれていて、冬場は特に重宝されやすいです。
さらに化学工業製品用に、液体洗剤や化粧品などの原材料としても活用されているため、日常でアルコールを活用している機会は多いといえます。
ここからは実際にお酒を凍らせて楽しむ方法を、種類別にご紹介します。
凍らせたお酒はのどごしがよく、飲みやすいため、酔いすぎないようご注意ください。
アルコール度数15度前後の日本酒は、比較的凍りやすく、冷凍庫に入れるとシャーベット状のみぞれ酒になります。
これまで日本酒は凍ると渋みやえぐみが出て、美味しくなくなるため、冷凍するのはダメとされてきました。
しかし、あえて凍らせてスッキリと飲みやすさを楽しむみぞれ酒を推奨している酒蔵やメーカーもあります。
なかにはみぞれ酒用に日本酒をパックで販売している酒造もありました。
さっそくみぞれ酒を作ってみましょう。
みぞれ酒はそのまま食べても美味しいですが、アレンジするとさらに美味しくいただけます。
かき氷用のシロップやジャム、リキュールなど、お好みに合わせてアレンジしてみてください。
また、みぞれ酒として楽しむなら、濃厚なお米の甘みが感じられる純米タイプがおすすめです。
ビールはアルコール度数が低いため、長時間冷凍庫に入れると完全に凍ってしまいます。
その分、凍った状態のビールが楽しみやすく、家庭でも簡単にフローズンビールが楽しめます。
フローズンビールを作るときは、破裂しないようビールの缶からアルミ製の蓋付きボトルに移し替えてから作るのがおすすめです。
フローズンビールの作り方はこちらです。
フローズンビールはシャリっとした食感が楽しめるビールのため、毎日飲んでいるビールに変化が欲しい方にぴったりです。
冷凍庫から出したときに強くボトルを振ると、吹きこぼれる可能性があるため優しく振るようにしましょう。
ウイスキーはアルコール度数が40度前後と高く、冷凍庫に入れても凍りません。
冷凍庫にお酒を入れる際は容器を移し替える必要がありますが、家庭用の冷凍庫ならばウイスキーが凍る心配も少ないため瓶のまま冷やしてもよいでしょう。
もちろん、瓶にヒビが入っていたり、冷却風があたりすぎて冷えすぎたりすると、割れの原因となります。
氷点下ウイスキーの作り方は、ウイスキーを冷凍庫に入れるだけです。
大体、8時間前後冷凍すると、トロッとしているのがわかります。
24時間ほど冷やすと、アルコールの強さがあまり感じられず、口当たりがまろやかになるため非常に飲みやすいです。
さらに冷やすとよりマイルドな香りと舌触りに変化するので、お好みに合わせて冷凍してみてください。
最後にフリージングハイボールの作り方をご紹介します。
フリージングハイボールは、ハイボール用にブレンドされたウイスキーを選ぶと非常に飲みやすいです。
フリージングハイボールを美味しく作るコツは、グラスをよく冷やし、かき混ぜ過ぎないことです。
炭酸は温度差で泡が出てしまうため、グラスや炭酸、ウイスキーに温度差があると、炭酸が抜けやすくなります。
また、氷をめいっぱい入れておくのも、爽やかなのどごしを楽しむうえで重要なポイントです。
レモンやライム果汁を加えるとよりさっぱりとした味わいになるので、ぜひ暑い日に試してみてください。
お酒を冷凍庫に入れる際は、瓶や缶のまま入れないのが重要です。
家庭用の一般的な冷凍庫であれば、そのまま入れても割れる可能性は低いですが、場所によっては破裂の可能性は十分ありえます。
また、お酒を入れる位置によっては、うまく冷やせないケースもあり、冷凍庫に入れる際はちょっとしたコツが必要です。
ここではお酒を冷凍庫に入れる時に注意しておきたい4つのポイントをご紹介します。
液体は凍ると、体積が増えて膨張してしまうため、お酒を瓶や缶のまま冷凍庫にいれると破裂する恐れがあります。
瓶にヒビが入っているのに気づかず、そのまま冷凍庫から出してしまうと、急激な温度により割れてしまうかもしれません。
家庭用の冷凍庫でも、冷却風が当たる位置においてしまうと、お酒が凍りすぎてしまい、割れる可能性が高くなります。
お酒を冷凍庫に入れる際は、割れにくい容器に移し替えてから冷風のあたりすぎない場所に入れるようにしましょう。
家庭用の冷凍庫の設定温度はマイナス18〜20℃とあまり高くありませんが、設定温度によってはお酒が完全に凍ってしまうリスクがあります。
業務用冷凍庫を使用している場合は、さらに強力な冷却力を持っているため、お酒を入れると完全に凍結してしまうことも。
お酒によって融点は異なりますが、家庭用の冷凍庫でもアルコール度数が15度前後だと凍りやすいです。
融点を下回ると完全に凍りますが、ウイスキーやウォッカなどアルコール度数の高いお酒であれば基本的には凍りません。
日本酒やワインなどは完全に凍る可能性があるため、設定温度には注意しましょう。
設定温度が低くても、冷却風が当たる部分は冷凍庫内のなかでも冷えやすく、場合によってはお酒が凍ってしまう可能性が高いです。
瓶や缶のまま、冷却風が当たる位置にお酒を入れてしまうと、急激に凍って体積が増えるため、ヒビや割れの原因になります。
また、ドアポケットの近くも、冷凍庫の開閉の度に温度変化が起こる場所です。
頻繁に冷凍庫を開けると庫内の温度が上昇して、お酒の風味が悪くなるので注意しましょう。
アルコール度数にもよりますが、お酒を冷凍庫にいれるのは基本的に問題ありません。
しかし、長時間冷凍庫にいれると、お酒の風味に変化が起こる可能性が高いです。
ウォッカのようなアルコール度数の高いお酒は、冷凍庫に入れても凍りませんが、トロトロとした舌触りになります。
まろやかで飲みやすくなるためわざと冷凍させるバーもありますが、まれに元々の風味が崩れてしまうケースもあるので注意しましょう。
また、一度凍らせたお酒を解凍すると、元の風味には戻らないことが多いです。
凍らせて楽しむ場合は、食べられる分だけ凍らせて楽しむようにしましょう。
冷凍庫にお酒を入れる際、ちょっとした工夫をするだけで早く冷凍させられます。
ここでは、お酒だけでなくほかの食材を冷凍するときにも役立つコツを3つご紹介します。
ちょっとしたコツを試すだけで、美味しく冷たいお酒が楽しめるので、ぜひためしてみてください。
冷凍庫にお酒を入れるときは、買ってきた瓶や缶から、厚手のペットボトルなどの密閉性の高いものに移してからにしましょう。
ペットボトルであれば、瓶のように割れる心配も、缶のように破裂するリスクも少ないです。
匂い移りもないため、風味を損なうことなく、冷凍したお酒が楽しめます。
また、日本酒など紙パック入りのお酒であれば、そのまま新聞紙などにくるんで冷凍が可能です。
紙パックのお酒なら、凍ってしまったとしても軽くもんでシャーベット状にしやすく、注ぎやすいのでぜひ試してみてください。
お酒を効率よく冷やすには、ある程度冷凍庫内にものが入った状態がベストです。
冷凍庫内の食材が保冷剤の役割を果たし、隣接している食品同士が冷やし合うため、常温のお酒も早く冷やせます。
目安としては冷凍庫内が8〜9割ほど入った状態で冷やすと、早く冷えやすく、さらに節電にもなります。
冷凍させたお酒を飲むグラスも一緒に入れておくと、出した後も長く冷えた状態を楽しめるので、お酒とグラスが入る程度のすき間を作って試してみてください。
缶などで販売されているお酒を空気抜きを使って冷凍庫に入れると、酸化を防ぎながら冷凍できます。
ワインや日本酒は酸化しやすく、ジンなどのリキュールも、空気と接触することで風味が劣化します。
近頃は、ボトルや瓶で使える空気抜きも販売されているので、冷凍したお酒を楽しむなら用意しておいて損はないでしょう。
また、空気抜きは冷凍しない場合でも、保存状態を保つためにおすすめの方法なので、ぜひ試してみてください。
お酒は冷凍庫に入れても凍らない可能性が高く、あえて冷凍させて楽しむ方法があります。
一般的な家庭用冷凍庫であれば、完全に凍結してしまう心配もありません。
冷凍しても凍結しないアルコールは、食品の急速凍結機や凍結防止剤として活躍しています。
ゼロカラの「ZERO-03」もアルコールを活用した急速凍結機で、最大マイナス60℃まで温度を下げられます。
今回ご紹介しているお酒の冷凍レシピは、アレンジするとさらに美味しく楽しめます。
ぜひ、アルコールの意外な使われ方をネタに、冷凍させたお酒を楽しんでみてください。
この記事を書いた専門家(アドバイザー)
著者情報 ゼロカラ編集部
超高速凍結機、急速凍結機、液体凍結機、ナトリウム除去装置、凍結製造ライン設計の株式会社ゼロカラ
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