おいしさを保ったまま長期間保存できる真空パック。
なぜ真空パックだと長期間保存できるのかご存知ですか?
食品の品質劣化は酸化や乾燥、細菌の増殖が原因のため、空気が触れない状態で冷凍するのがおすすめです。
今回は真空パック冷凍を活用するメリットと共に、保存期間の目安について解説します。
より長くおいしさが維持できる保存術についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
真空パックは、専用の袋や容器に食品を入れた状態で空気を抜いて密閉することです。
通常の冷凍保存よりも、真空パック冷凍したほうが冷凍焼けも起こりにくく、美味しさを保った状態で長期間保存できる方法として活用されています。
ここからは真空パック冷凍を取り入れる際の大きなメリットについて2つご紹介します。
空気を抜いて真空状態にすると、食品が空気に触れにくくなるため、酸化を防止できます。
ジップロックなどに入れた状態で行う家庭冷凍は、どんなに早く冷凍しても空気に触れているため、酸化してしまいます。
また、食品が空気に触れてしまうと、乾燥や細菌の増殖の原因にもなり、風味や品質劣化につながるため、真空パックでの保存は品質を維持するのに非常に有効です。
酸化や乾燥を防ぐことで、冷凍焼けも防げるので、より美味しさを保った状態で冷凍できるのも、真空パック冷凍のメリットでしょう。
関連記事:冷凍焼けが起こる原因は?美味しく復活させるコツと上手な保存方法
真空パック冷凍は、酸化や乾燥、細菌の増殖などの品質劣化を防げるため、食品の保存期間を大幅に延ばせます。
冷凍する食品や環境にもよりますが、一般的な冷凍方法と比較して、2〜5倍程度保存期間が延長できるでしょう。
真空パック冷凍なら、周りの食品に匂い移りする心配もありません。
また、冷蔵保存する場合、サランラップを使うだけの場合よりも1.5倍近く長期間保存ができますが、劣化は進みやすいので冷凍保存がおすすめです。
食品によって真空パック冷凍が向いているものもあれば、生野菜や崩れやすい食品など向いていない食品もあります。
真空パック冷凍する際は、食品に適した温度で保存するとよいでしょう。
真空パックで冷凍保存することで、美味しさを保ったまま長期間保存が可能ですが、もちろん永久に品質が劣化しないわけではありません。
あくまでも通常の冷凍保存よりも劣化を抑えつつ、長期間保存を可能にするものです。安全に食べるためにも、保存期間の目安について確認しておくのが大切です。
ここで食品別に真空パック冷凍したときの保存期間目安について解説します。
関連記事:冷凍保存できる期間の目安は?美味しく食べられる保存方法や見極めポイント
肉類や魚介類を真空パック冷凍した場合の保存目安は次の通りです。
通常冷凍保存目安 | 真空パック冷凍保存目安 | |
肉類 | 3〜4ヶ月程度 | 1年程度 |
魚介類 | 6ヶ月程度 | 2年程度 |
肉類を真空パック冷凍した場合、牛肉や豚肉、鶏肉など種類を問わず、1年程度保存できます。
冷蔵保存も通常では3日程度のところ、真空パックでの冷蔵は5日程度鮮度を維持したまま保存が可能です。
ひき肉など形状によっては保存期間が短くなりますが、通常冷凍よりも大幅に長持ちします。
また、生魚などの魚介類も、一般的な冷蔵方法で3日、真空パックでは5日程度保存できます。
真空状態で冷凍保存すれば、2年と大幅に保存期間が延びるので、釣ってきた新鮮なお魚を保存する際は早めに真空パックにしておきましょう。
野菜類は、冷凍する食品によって大きく保存期間が異なります。
また、冷凍保存自体が向いていない野菜もあるため、真空パック冷凍する際は適切な保存方法について確認しておくとよいでしょう。
たとえば、生野菜の状態で真空パックにしてしまうと、エチレンガスが発生し、腐敗が進んでしまう可能性があります。
特に以下の野菜はエチレンガスが出やすく、真空パックに向いていません。
真空パック冷凍する際は、できるだけ水分や繊維質の少ない野菜や果物を選ぶのがおすすめです。
また、冷凍前に下茹でしておくと食感を保ったまま長期保存できます。
真空パックする際にカットして小分けにしておくと、必要な量だけ回答ができて、時短調理にも便利です。
ハムやウィンナー、煮物などは、飲食店やスーパーでも真空パック冷凍されているケースが多いです。
調理後すぐに粗熱を取り、真空パック冷凍すれば、冷蔵保存するよりも大幅に保存期間が延ばせます。
たとえば、ジャーキーなどの乾燥肉、乾燥魚は常温で保存すると6ヶ月程度保存できますが、真空パック冷凍すれば湿気を防ぎ、1年ほど美味しさが維持できます。
煮込み料理やスープ、カレーなども、通常3日が保存期間の目安ですが、真空パック冷凍すれば7日程度は美味しくいただけるでしょう。
加工食品によって保存期間は異なりますが、ほとんどの料理は真空パック冷凍できるので、作りすぎてしまったときはぜひ試してみてください。
メリットの多い真空パック保存ですが、食品によっては逆に劣化を早めてしまう可能性もあります。
ここからは真空パックに適した食品と適さない食品を理由も含めて、紹介します。
真空パックに適している食品は「空気に触れると劣化しやすい食品」です。
たとえば、以下のような食品は真空パックで冷凍保存すると、美味しさや形を保ったまま保存できます。
真空パック冷凍する際は、水分量や繊維質の少ない食品を選ぶとよいでしょう。
肉類や魚介類を真空パック冷凍すると、通常の冷凍方法よりも乾燥や酸化が防げるため、より長い期間保存できます。
また、汁気に対応している真空パック機を使用すれば、煮込み料理やスープ系なども真空パック冷凍が可能です。
保存期間を延ばしやすい真空パック冷凍ですが、保存に適さない食品もあります。
たとえば水分量の多い食品は解凍時にべちゃっとしやすく、繊維質の多い食品もスポンジのような食感になりやすいです。
特にトマトやキャベツなどはエチレンガスが発生しやすく、真空パックにすることでさらに劣化が進んでしまうかもしれません。
下記のような食材はあまり真空パック冷凍に適していないので、保存する際は工夫や注意が必要です。
また、マヨネーズやチーズなど油分の多い食品を冷凍すると、水分と油が分離してしまいます。下味冷凍などで調味料を入れる際は油分の多いものは取り除き、調理する直前で入れるようにしましょう。
家庭で真空パック冷凍を行う際、いくつかの注意点があります。真空パックで美味しさと鮮度を維持しつつ、冷凍保存するなら、次の3つのポイントを押さえておきましょう。
真空パック冷凍は、一工夫するだけで食品が長持ちするので、ぜひ試してみてください。
真空パック冷凍する際は、食品を下処理しておくとより保存期間が長持ちします。
たとえば、ブロッコリーやほうれん草、にんじんなどの野菜は、下茹でしてから真空パック冷凍すると、食感が損なわれにくいです。
肉類や魚介類は表面に付着している血液や汚れなどをしっかり洗い流し、余計な水分を拭き取ってから真空パック冷凍すると雑菌の繁殖を防げます。
特に魚類は塩を振って余計な水分を取り除いておくと、生臭さもなくなるので、解凍後の処理が楽になるでしょう。
また、下処理後も真空パック専用の袋または容器を使用し、冷凍する前に包装に破れや穴がないか確認しておくのも大切です。
包装に破れがあると真空状態ではなくなるため、保存期間が大幅に短くなる可能性があります。
真空パック冷凍する際は、必ず食品の下処理をし、包装に異常がないか確認してから冷凍庫に保存しましょう。
真空パックは包装内の空気を抜いて密閉しますが、脱気しすぎてしまうと食品が潰れて食感が損なわれます。
特に揚げ物や点心、ケーキ類など、立体的な食品は脱気によってつぶれてしまうため、真空パックでの保存に向いていません。
また、真空パックに向いている食品も、脱気しすぎると潰れて調理しにくくなってしまう可能性があります。
食品を真空パックする際は、空気が均一に抜けるようなるべく形や厚みを整え、つぶれない程度に脱気しましょう。
つぶれやすい食品を真空パック冷凍したい場合は、以下のポイントも参考にしてみてください。
特に、パンや肉まんなどは半日程度冷凍しておくと、形を保ったまま真空パックしやすいです。
適度な真空状態で保存するのもおすすめですが、つぶれやすい食品を真空パックする際は冷凍してから行うとよいでしょう。
真空パックした食品を長持ちさせるには、適切な前処理と共に、冷凍する温度管理も欠かせません。
食品を冷凍する際の温度目安は、一般的に−18℃とされています。
真空パックした食品も同じく、−18℃以下で保存できれば、細菌の繁殖や冷凍焼けが防げますが、保存方法によっては、保存期間が短くなってしまう可能性もあります。
たとえば、冷凍庫ドア付近に真空パックした食品を保存してしまうと、開閉による温度上昇の影響を受けやすいです。
真空パック冷凍のメリットを最大限に活かすためにも、冷凍庫内の温度管理には注意しましょう。
関連記事:冷凍庫の理想的な温度設定は?効率よく冷凍させる3つのウラ技
真空パック冷凍は家庭よりも、食品メーカーや飲食店で活用されているケースが多いです。
食品が長持ちしやすいため、食品ロスの削減や品質管理、広域での販売など、企業が真空パック冷凍を活用するのには多くのメリットがあります。
ここで真空パック冷凍の活用事例を一部ご紹介します。
企業が真空パック冷凍を活用すると、食品ロスや人件費の大幅な削減が期待できます。
真空パック冷凍は、鮮度を保ったまま食品を保存できるため、生鮮食品の廃棄ロスが削減可能です。
加工品やお惣菜などの賞味期限も延びるので、廃棄ロスを削減しつつ大量仕入れ・生産ができます。
また、真空パックは生産後にまとめて冷凍保存できるため、生産性が向上し、人件費の削減にも繋がります。
年間生産計画に基づいて作業を平均化すれば、賞味期限延長による管理コストの削減と共に繁忙期や大量注文にも対応できるでしょう。
真空パックによって保存期間が長くなると、遠方での販売が可能になります。
生鮮食品は産地から遠くなればなるほど品質劣化しやすく、鮮度が保てる距離でしか販売ができませんでした。
しかし、真空パックによって食品の鮮度が長時間維持できれば、輸送距離を問わず販路を拡大できます。
ただ冷凍保存するよりも、真空パックにしたほうがより品質と鮮度を保って流通できるでしょう。
真空パックで賞味期限が長くなると、需要と供給バランスを平準化できます。
収穫期に大量に採れた果物や野菜を真空パック冷凍し保存しておけば、供給量が増える時期に出荷可能です。
特に果物は収穫期と需要のある時期がズレやすく、真空パック冷凍を活用すれば需給調整もしやすいでしょう。
クリスマスやお正月など特需の多い商品を取り扱っている企業は、真空パック冷凍の活用で繁忙期の労働環境を改善できるかもしれません。
真空パックで食品を冷凍すると、食品の酸化や乾燥を防ぎながら、腐敗の原因である細菌の増殖を抑えられます。
一般的な冷凍保存よりも鮮度が長持ちするため、家庭ではもちろん、飲食店や食品メーカー、生鮮業者でもうまく活用できれば、食品ロスの削減につながるでしょう。
真空パック冷凍は密閉状態で保存するため、ブライン液を使った急速冷凍との相性が抜群です。
ゼロカラでは超低温のブライン液を活用して、急速冷凍できる超高速凍結機ZERO-03を提供しています。
冷凍時間が4分の1に短縮できたり、通販の売上が向上したりと、良い導入効果を実感されている企業様が多いです。
飲食店や食品メーカーで真空パック冷凍を導入する際は、効率よく凍結できる超高速凍結機ZERO-03を利用されてみてはいかがでしょうか。
機能面や解凍時の品質などが確認できるテストキッチンも無料で開放していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた専門家(アドバイザー)
著者情報 ゼロカラ編集部
超高速凍結機、急速凍結機、液体凍結機、ナトリウム除去装置、凍結製造ライン設計の株式会社ゼロカラ
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